鬼平犯科帳 1
文春文庫で全21巻読了しました。
火付盗賊改方の長官を務めることになった長谷川平蔵宣以(のぶため)、「鬼平」が主人公の連作短編中心の物語です。
平蔵を助ける佐嶋与力、うさぎの忠吾、粂八、おまさ、彦十、伊三次、岸井左馬之助、久栄、五郎蔵、お熊婆…脇の人物も良いです。
しかし、ビシビシと盗人を取り締まる鬼平、厳しいだけではなく「真の盗め(つとめ)」をして捕まった盗賊には優しかったり暖かかったりするのに触れて盗人から密偵になる人たちの気持ち…分かるなあと思いつつ、「おお、平蔵さんまたたらしこんでいるよ。巧いね〜」と思わず呟いたりしますw
夏の暑さが遠のき始めた涼しい秋の夕刻に、冷えた大吟醸の冷酒とさり気ない酒の肴でほろ酔い加減…と言った至福感でした。
「鬼平犯科帳」の作中に出てくる「鮎並(あいなめ)の煮付け」とか「田螺と葱のぬた」とか「分葱と木耳の和え物」とかをつまみにほろほろと…やりたいw
文庫本で21巻…と長いですが、前に出てきたあの盗賊とこの盗賊が繋がりがあって…となったりするので順当に読み進む方が楽しめます。
ゆっくり読み始めてたまに前の作品に戻って読んだり、食べ物ネタをじっくり堪能したり…みたいな再読も楽しかろうと思います。
「『鬼平犯科帳』は老後の楽しみに取ってある」という読書仲間のTさんの気持ちも分かりますw
私の周囲の、本読み・本好きの方々とは厳密に言うと、読書傾向が違っている方、似ている方色々いる訳ですが、「鬼平犯科帳」ファンや池波ファンは他の本の好みが違っていても重なる感じです。
本好きの人と、それ程本を読まない人の「面白さ」を感じる部分というのはズレる事も結構ある気がします。
本好きの人は「面白い」趣向やエピソードを他の本でも見聞する分、点が辛くなる…という感じでしょうか。
「初めてだったら絶対面白いと感じたろうな〜」となる事結構あるので。
「鬼平犯科帳」は間違いなく両方の「面白さ」に合致するという気がします。
本好きの友、それほど本は読まない友、両方に「『鬼平犯科帳』? あ〜、あれ。嵌ったよ〜」って方多かったです。
まだの方は気の向いたときにでも是非。