アキハバラ@DEEP
石田 衣良著
出版 : 文芸春秋
サイズ : 四六判 / 452p
ISBN : 4-16-323530-2
発行年月 : 2004.11
コスプレ喫茶のアイドル、不潔恐怖症のWebデザイナー、中卒の天才プログラマー…。
病気のおたく青年たちが、裏アキハバラで出会ったとき、ネットのせかいに革命を起すeビジネスが始まった!
電脳街の弱小ベンチャー「アキハバラ@DEEP」に集まった若者たちが、不眠不休で製作した傑作サーチエンジン「クルーク」。ネットの悪の帝王にすべてを奪われたとき、おたくの誇りをかけたテロが、裏アキハバラを揺るがす。
Web上の文章を書くページ、Webデザイナーのボックス、ゲームやホームページの効果音や音楽を作るデスクトップミュージシャンのタイコ、彼らは「ユイのライフガード」というサイトを介して知り合った仲間です。
それぞれふつうに生活していくには問題がある精神的、器質的な障害があり、一般的な生活が送れません。
それぞれ仲間と知り合うまでは他人と上手くコミュニケーションを取る事さえできないでいました。
このサイトの管理人ユイという人の紹介で2人、天才プログラマーでアルビノの少年イズムと法律事務所のした働きをしていたけれどある日外に出られなくなり10年ひきこもりをしていた達磨が加わり、ページたちが足繁く通うコスプレ喫茶のアイドルも実は「ライフガード」の常連で、この仲間たちに合流します。
ネットおたくの青春物語、と言うよりファンタジーかな…という感じがします。
架空のサーチエンジン「クルーク」が語り手になっているから…というのもありますが、ネットおたくの青年たちのビジネス成功譚として読むにはちょっとおとぎ噺テイストが入っている感じで。
おとぎ噺が入っているから面白くないか、と言うと、そんな事はなく、面白いです。
サーチエンジン、インデックス型(Y*hoo!)やディレクトリ型(g*gle)ではなく、インデックス型のサーチエンジンのプログラムに、人の心の動きを学習させ、サイトの関連情報をリストアップするだけでなく、プログラムに深い問いや思いがけない発見さえ見つけ出せるようにする…というサーチエンジンは結構魅力あるかもー、と思ってしまいました。
このサーチエンジンを作りあげ、それを愛してやまない6人のおたくたちが立ち上がる…ベタな展開ですが、心地良いベタ加減でした