|
評価:
上橋 菜穂子
講談社
¥ 1,680
(2006-11-21)
|
傷ついた王獣の子、リランを救いたい一心で、王獣を操る術を見つけてしまったエリンに、学舎の人々は驚愕する。
しかし、王獣は「けっして馴らしてはいけない獣」であった。
その理由を、エリンはやがて、身をもって知ることになる…。
王国の命運をかけた争いに巻きこまれていくエリン。
――人と獣との間にかけられた橋が導く、絶望と希望とは?
王獣の子リランが元気になると、今度は政治的なやっかい事が発生してきます。
無敵と言って良い「兵器」である闘蛇、その闘蛇を唯一喰らうことのできる王獣は闘蛇より上である真王の象徴として位置しています。
闘蛇、王獣ともに音無し笛で硬直させる事で近寄ることはできても、決して人には懐かない生き物である…という前提をエリンは覆してしまった事になります。
真王領と大公領の間にある、不信や不満もだんだん修復が出来なくなりつつある時に真王ハルミヤが闘蛇に襲われると言う暗殺未遂事件が勃発します。
真王はエリンによって一応一命を取りとめますが、帰路の途中で亡くなってしまいます。
真王の死により、真王側と大公側の関係も大きな亀裂が生じつつあります。
そんな状況の中、エリンは否応なく「王獣を操べる者」として巻きこまれていきます。
どんなに近づいていたと言っても、人であるエリンと獣であるリランは違う生き物である事、悪気はなくてもエリンをたやすく傷つける事が出来る事実をエリンも味わうことになります。
一旦認識してしまった差を、お互いがお互いに感じてしまった小さな不信を乗り越えられるのか…気になって気になって…。
ラスト、「え〜、ここで終わっちゃうの?」という部分もありますが…いや〜、一気に読んじゃいました。
お勧めです!