金環蝕的日々

本のこと、日々のこと

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「ナイチンゲールの沈黙」 海堂尊 (2007.03.06)
東城大学医学部付病院・小児科に勤務する浜田小夜。
担当は、眼球に発生する癌――網膜麦腫(レティノブラストーマ)の子供たち。
眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルヘルスサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。
その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正院内捜査を開始する。
小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。


「チーム・バチスタの栄光」の続編、と言うかシリーズの2作目です。

ミステリ系の話は、密室モノでもアリバイ崩しでも、そもそも基本的に「ウソだぁ」的なトリックがあったりします。
ミステリ読んでいる人間はお約束的に「騙される」事はOKです。

…が、今回の歌は…ん〜…かなり微妙。
ミステリとしてはこれは「なし」ではないかなぁ…。
ファンタジーやSFでこれが出るのは可、ですが、ミステリで出るのはなぁ…みたいな。

今回は白鳥さんがあまり目立たない感じ。
他に食われたと言うより単におとなし目…と言うか。
田口・白鳥コンビの他にも、白鳥の天敵加納警視正、小児病棟の猫田師長、患児の瑞人、アツシ、…と、面白そうなキャラは出るには出るんですがイマイチ掘り下げがないかなぁ…。

1作目の「チームバチスタの栄光」でもミステリ的にはそれほどではなかった訳ですが、今回はちょっとなぁ…。

この歌ネタでまったく毛色の違うファンタジーやSFであれば面白く読めたのにな…という気持ちが残ってしまいました。
キャラの出具合や、この歌ネタで、正直「何か勿体無い気がする…」と思ってしまったり。
評価:
海堂 尊
宝島社
¥ 1,680
(2006-10-06)

| 海堂尊 | 22:39 | comments(0) | trackbacks(0)
「チーム・バチスタの栄光」 海堂尊 (2006.11.28)
チーム・バチスタの栄光チーム・バチスタの栄光
海堂 尊
宝島社
2006-01
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東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器統御外科助教授として招聘した。
彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称"チーム・バチスタ"として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。
ところが3例立て続けに術中死が発生。
原因不明術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来の責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。
崩壊寸前の大学病院の現状。
医療現場の危機的状況、そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。
医療過誤か、殺人か。
遺体は何を語るのか…。
栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。


第4回「このミステリーがすごい!」大賞(2006年)受賞作です。
面白い、という評判を聞きつつ図書館にリクエストを出し、手に取るまで数ヶ月かかりました。
面白かったです。お勧め。

あらすじはカバー裏面から、なのですが、すごく硬派な話…というかんじではなく、とぼけた部分に思わず笑いが入る感じで、良い意味裏切られました。
本質的に聞き役の田口医師の視点で語られる第一部の「ネガ」の、不定愁訴外来のエピソードや田口医師の人物観察、地味ながら面白いんですが、第二部の「ポジ」から登場する、鋭すぎて殴られたりもする(しかも本人は平気)型破り役人・白鳥、…こ、この人奥田英朗の「イン・ザ・プール」の伊良部とタメを脹れるのでは…w

どうやらこの白鳥さんは厚生省の主席入省者らしいのですが、入省直後から言いたい放題包み隠さず口にしたせいで省内のあちこちで嫌われまくり馘首にこそならなかったとは言え、ある日出省してみると所属する部署に席がなくなり私物はダンボールに入れられ入り口に置いてある…から始まり資料室、喫煙室を渡り歩き、合同庁舎の最上階レストランでとぐろを巻き…で大臣官房付きと言う移動を命じられます。
大臣官房付という部署は不祥事官僚などがいったん転地させられる、庄長内部の一時拘置所みたいな部署です。

大臣官房付に配属になってから仕事と言う仕事がないのも手伝って(笑)「ふと思いついて」母校の法医学教室に潜り込んで検死検案や解剖に詳しくなり(医師免許持ちなんですよ、この白鳥さん)、その後解剖医、認定病理医、死体検案認定医、法医認定医などの資格も取り…とやっているうちに医療過誤事件の増加によって厚生労働省に専門の機関を設立することになり、何故か室長に出世してしまう…というw


この2人のやりとりがズレてる分余計におかしいです。
『二人掛けの座席で一・五人分を占拠している感じ』という表現、思わず笑います。
高階病院長、藤原看護師をはじめ、周囲のキャラクターも楽しいです。
犯人の意外さ、ミステリ的リアリティよりも、キャラクターの造詣や、テンポの良さや語り口が楽しい作品でした。


作者の海堂尊さんは外科から病理学に転じた勤務医なんだそうです。
| 海堂尊 | 22:55 | comments(0) | trackbacks(0)