金環蝕的日々

本のこと、日々のこと

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「階段途中のビッグ・ノイズ」 越谷オサム (2008.08.28)
評価:
越谷 オサム
幻冬舎
¥ 1,575
(2006-10)
だめな先輩のせいで、伝統ある軽音楽部が廃部になってしまう。
がけっぷちに立たされても、啓人は煮え切らなかった。
しかし、幽霊部員だった伸太郎に引きずられ…。
太ももが眩しい同級生への恋、頼りにならない顧問、不協和音ばかりの仲間たち。
四面楚歌の状態で、啓人は「一発ドカンと」やれるのか!?


伝統はありつつもやる気のない先輩がのさばっているせいで、3年が2人、2年が1人、新入生ゼロ、他は幽霊部員で活動皆無の軽音楽部。
その軽音部で一人地味にアンプの音を出さない(出せない)エレキギターで一生懸命練習する2年生の啓人。
アンプの音を出してよいのは軽音部の練習場所である屋上通用口前の踊り場に部員以外の人間が来た時のみ。
やる気のない先輩2人が麻薬(マリファナ・覚せい剤)で退学になってしまい、彼らのたまり場となっていた軽音楽部も廃部に…という動きに。

兄貴が軽音部で兄貴の演奏を聴いて自分もバンドをやりたくて本田高校の軽音部に入った啓人(ヴォーカル・サイド・ギター)。
実は中学時代からバンド活動をやりたくて田高の軽音部に入りたくて必死に受験したものの、今の軽音部が駄目すぎて部活に顔を出しもしなくなった幽霊部員の伸太郎(ベース)。
軽音部の幽霊部員の先輩から紹介された「腕は立つ」が駄目出しが容赦なさすぎで中学時代にバンドメンバーに逃げられてしまった過去のある勇作(リードギター)。
吹奏楽部のスパルタ式練習に切れて退部してしまったパーカッションの徹(ドラム)。
良く分からない謎の顧問加藤。
水泳部の部員で鍵のかかっている屋上にひそかに出入りしているクラスメートの大野亜季。
規則規則で生徒を縛ろうとする教師・森。

直球ど真ん中の青春モノ…と言いますか。
いや、気持ち良いです。


廃部寸前の軽音部を立て直すために顧問になってくれるように教師達に頼むも誰もOKは出してくれず、メンバーを募集するも周囲は冷たい訳です。
規則にうるさい教師の詮索にキレそうになったりしつつ何とかメンバーは集まります。
ようやくメンバーが揃った…となっても周囲からは「うるさい」の嵐。
防音用のカーテンを自作し真夏の暑さに耐え忍び練習をするも勇作の「ダメダメダメ!」の連発…。
それでもめげずに ずっと練習を続ける啓人たち。

野球部から「あの曲(どん・どん・ぱんの曲=We Will Rock You)やってくれ」のリクエストがあったり、いつの間にか「うるさい」ではなく「あの曲何?」と思ってもらえたり、曲の一部を鼻歌で歌ってもらえたりだんだん盛り上がっていきます。

啓人くんの歌、歌詞がひらがな表記なのが良いですね。
それにしてもカトセン、良い味出してます。
淑子ちゃんもなかなか良い感じ。
ひねた奴はいても悪い奴がいない、気持ちの良い終わり方、楽しかったです。

田高マニアで演奏された曲は
クイーン 「ウィ・ウィル・ロック・ユー」 (Queen _ We Will Rock You)
ラモーンズ 「ブリッククリーグ・バップ」 (Ramones _ BLITZKRIEG BOP)
オフスプリング 「オール・アイ・ウォント」 (The Offspring _ All I Want)
グリーン・ディ 「リダンダント」 (Green Day _ Redundant)
グリーン・ディ 「バスケット・ケース」 (Green Day _ Basket Case )
キッス 「ロックンロール・オール・ナイト」 (Kiss _ Rock And Roll All Nite)

You Tubeニコニコ動画などで動画を捜してしまいましたわ。
ちなみに、ニコニコ動画は初めに登録が必要なのですが、『【PV】 Green Day 「Basket Case」』などは英語の歌詞と翻訳がついていて画像も良かったです。


| 越谷オサム | 18:13 | comments(2) | -
「ボーナス・トラック」 越谷オサム (2008.08.18)
評価:
越谷 オサム
新潮社
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(2004-12-21)
こいつ、なかなかいいやつなんだ、幽霊であることを除いては…。
ハンバーガーショップで働く 「僕」は、ある雨の晩、ひき逃げを目撃したばかりに、死んだ若者の幽霊にまとわりつかれる羽目に。
でも、なかなかいいやつなんだ、アルバイトの美少女にご執心なのはこまりものだけど…。


某ハンバーガーチェーンに勤める草野は田舎道でひき逃げを目撃し、その時死んだ被害者の幽霊がくっついてきて…と話は始まります。
この幽霊、横井亮太は生まれた町が喧嘩祭りで有名な土地で、荒っぽい気風の町でビビりながら育った文科系。
荒っぽいのから逃げるために「お調子者の世渡り上手」というアビリティを装備した…という、すごくテンポの良い奴で、普通の地の文でも結構笑えそうなくらい。
そんな調子の良い亮太ですが、お調子者故に自分の葬儀の時の家族の悲しみがとても切ないです。

草野が勤めるハンバーガーショップのアルバイト南と南の妹の友達でやはりアルバイト仲間の明日香が実は「見える」人だと分かり、亮太をひき逃げした犯人を突き止めるのに巻き込んだり、亮太以外の幽霊も成仏させたり。 この幽霊を成仏させるのがまたホロリと切ない感じで良いのですわ。
幽霊である亮太を含め登場人物たちが真面目で特に目立たないフツーの人たちな訳ですが、これがフツーの人たちだから良い感じだったり。
ハンバーガーショップのマネージャーである草野と一緒にずっとハンバーガーショップ内にいることになる幽霊の亮太に、仕事を自分ひとりで溜め込まず他の人に上手く振り分けて…とアドバイスされるのですが、これがなかなか鋭い(笑)。
作者がハンバーガーショップで働いた経験があるそうで、ハンバーガーショップのお仕事に臨場感がありました。

第16回(H16年)日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞


| 越谷オサム | 11:04 | comments(2) | -