七月の図書室。
彼と出会ったあの夏は、忘れない。
藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。
残された病気の母と二人、毀れそうな家族がたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。
彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。
家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。
主人公の理帆子は進学校に通い、遊びの仲間から「頭いい」と評される子です。
本人も、一緒に遊んでいる子たちを、学校の友達を「頭、悪いな」と思いつつそれは表に出さずに表面は上手くつきあっている…というタイプ。
『私の考える頭の良さというものは、多分その人の今までの読書量に比例する』
『私は創作の世界から大事なことを全て教わった』
まぁ、ある意味オタクな子なら高校生くらいの時ってそう考えたりする事もあるよな…。
創作で読んだだけで全てが分かった気になってる状態が「頭いい」とは思えませんが。
理帆子が馬鹿にしつつも孤独感故につきあっていた学校の友達や遊び友達が、理帆子を好きな故に心配してくれたり、母の通夜に駆けつけてくれたり。
理帆子が「ごめん」と「ありがとう」をちゃんと感じられて良かったなぁと思ってしまいました。
それにしても理帆子の前彼の若尾が…いや〜、気持ち悪いw
この若尾の壊れていく過程、毀れていくさまは、かなり「ありそう」でリアルな感じ。
理帆子の前に現れる別所あきらがどんな存在かは結構早くに分かってしまうのですが、それでも物語り進行に支障がある…まではいかない感じ。
作品中にあちこちに散りばめられレテいる「ドラえもん」の使い方が上手いなぁ…w