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評価:
中沢 けい
新潮社
¥ 540
(2002-12)
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「君、吹奏楽部に入らないか?」「エ、スイソウガク!?」
――学校にいる時間をなるべく短くしたい、引っ込み思案の中学生・克久は、入学後ブラスバンドに入部する。
先輩や友人、教師に囲まれ、全国大会を目指す毎日。
少年期の多感な時期に、戸惑いながらも音楽に夢中になる克久。
やがて大会の日を迎え…。
忘れていませんか、伸び盛りの輝きを。
同じ小学校から入学した同級生にハブられて出来るだけ何も感じないように生活しようとしている克久の胸に、うさぎが棲みだしたのは小学校の卒業式が終わってまもなくの頃に近くの公園でうさぎを見かけてからでした。
どうやらこのうさぎ、臆病ながら好奇心はあるようで、克久自身は訳も分からないうちに「僕、ブラスバンドに入ろうと思っているんです」と、何かとからんでくる同級生に言いながら、調子を狂わせられながら相手をやり込めようとする同級生に『ひょっとしてこいつは俺と張り合っているんじゃないか?』と感じたり、2年生になって夏休みに博多の伯父さんの所へ旅行した時は裃を着てかしこまっていたり、なかなか楽しいです。
私は吹奏楽をやったことはおろか、ロクに楽器を演奏した事はないです。
…が、読みながら、「あぁ、各パートが揃って楽曲が“歌いだす”のって気持ちが良いんだろうなぁ…」としみじみしてしまいました。
何かに夢中になって伸びる時のワクワクした感じがとても楽しい感じでした。