金環蝕的日々

本のこと、日々のこと

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「村田エフェンディ滞土録」 梨木香歩 (2004.10.18)
村田エフェンディ滞土録
梨木 香歩著角川書店 (2004.4)通常24時間以内に発送します。


町中に響くエザン(祈り)。軽羅をまとう美しい婦人の群れ。異国の若者達が囲む食卓での語らい。虚をつく鸚鵡の叫び。古代への夢と憧れ。羅馬硝子(ローマガラス)を掘り当てた高ぶり。
守り神同士の勢力争い――スタンブールでの村田の日々は、懐かしくも甘美な青春の光であった。


土耳古皇帝の招聘により土耳古文化研究のためスタンブール(イスタンブール)へ渡った村田のお話です。家守綺譚(梨木香歩)にもちらりと登場していた主人公綿貫さんの友人・村田さんの、トルコでの日々のお話です。

英国人のディクスン夫人の下宿で生活を共にしているのは、土耳古人のムハンマド、独逸人の考古学者オットー、希臘人のディミトリアス、そして鸚鵡。
このムハンマドが拾ってきた鸚鵡のしゃべる言葉が絶妙でいい感じ。

時代は第1次世界大戦に突入しようかという時代なので、決して明るい時代ではないです。戦争に向ってだんだんと暗さを増しつつある時代、暗さを増しつつも人々が懸命に生きている時代、でしょうか。
ラストは思わずホロリとしました。

「家守奇譚」と繋がる世界ですが、こちらの「村田エフェンディ滞土録」の方が話は重い感じです。
「家守奇譚」と違い、この「村田エフェンディ滞土録」には失われてかえってこないものがあるせいでしょうか。
でも、そのかえってこないもの故に心に残る感じです。

土耳古(トルコ)、独逸(ドイツ)、希臘(ギリシア)という昔の漢字による表記が良いです。
| 梨木香歩 | 21:45 | comments(2) | trackbacks(1)
「家守奇譚」梨木香歩 (2004.08.13)
家守綺譚
家守綺譚
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2. 2
梨木 香歩著新潮社 (2004.1)通常24時間以内に発送します。

庭・池・電燈付二階屋。
汽車駅・先頭近接。
四季折々、草・花・鳥・獣・
仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々 出没数多――。


駆け出しの物書きである主人公・綿貫は、学生時代に亡くなった親友の実家に、ひとりで住まうことになります。
時代は明治、京都。
疎水から引いた流れが庭を通って池となる古屋敷での淡々とした非日常のお話。

行方不明になったきり遺体のあがらない親友の高堂がやってきて、
――サルスベリのやつが、おまえに懸想をしている。
と、いきなり言い出すし、綿貫は綿貫で心当たりがあるし…。

怪異やモノの精、物怪などが出てくるのですが、これはホラーではないです。
和物で、ファンタジーの範疇です。

四季折々の花や草の小タイトルで、不思議なものたちと、不思議な世界に行ってしまった亡き親友と淡々と付き合う綿貫がいい感じです。
同居する犬、ゴローと、お隣のおかみさんがとてもいい味出しています。

現代の日本が失ってしまったかもしれない、でも、こうして読むと郷愁を感じる、そんな雰囲気が良かったです。

読みながら、波津彬子さんの物怪たち(雨柳堂夢咄)が似合いそうだなーと思ったり。
| 梨木香歩 | 19:19 | comments(0) | trackbacks(0)