梨木 香歩著新潮社 (2004.1)通常24時間以内に発送します。
庭・池・電燈付二階屋。
汽車駅・先頭近接。
四季折々、草・花・鳥・獣・
仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々 出没数多――。
駆け出しの物書きである主人公・綿貫は、学生時代に亡くなった親友の実家に、ひとりで住まうことになります。
時代は明治、京都。
疎水から引いた流れが庭を通って池となる古屋敷での淡々とした非日常のお話。
行方不明になったきり遺体のあがらない親友の高堂がやってきて、
――サルスベリのやつが、おまえに懸想をしている。
と、いきなり言い出すし、綿貫は綿貫で心当たりがあるし…。
怪異やモノの精、物怪などが出てくるのですが、これはホラーではないです。
和物で、ファンタジーの範疇です。
四季折々の花や草の小タイトルで、不思議なものたちと、不思議な世界に行ってしまった亡き親友と淡々と付き合う綿貫がいい感じです。
同居する犬、ゴローと、お隣のおかみさんがとてもいい味出しています。
現代の日本が失ってしまったかもしれない、でも、こうして読むと郷愁を感じる、そんな雰囲気が良かったです。
読みながら、波津彬子さんの物怪たち(雨柳堂夢咄)が似合いそうだなーと思ったり。