金環蝕的日々

本のこと、日々のこと

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「おそろし 三島屋変調百物語事始」(宮部みゆき) (2008.10.29)
評価:
宮部 みゆき
角川グループパブリッシング
¥ 1,785
(2008-07-30)
息をのみ、ふるえ、涙して…
江戸中から集められたふしぎ話の主役は、生きながら心を閉ざす者、心を残して命を落とした者、
そして心の闇に巣くう、人外のもの――。

17歳のおちかは、実家で起きた事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。
ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。
そんなある日、叔父・伊兵衛はおちかを呼ぶと、これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。
おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。
いつしか、次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて――。


お話の系統としては人外のものも出る「天狗風」や「あかんべえ」に近いテイストでしょうか。
三島屋に持ってこられる話はひとつひとつには特に関わりがない訳ですが、話を聞くおしまを通して繋がっていき、最後に大きく動く…という感じ。
副題が「三島屋変調百物語事始(みしまや・へんちょう・ひゃくものがたり・ことはじめ)とあるようにこの1冊だけで終わる感じではないです。
その分、ラストにまだ「続く」感じ(人外の者っぽい家守りとのやりとりとか)が残るので「あかんべえ」や「孤宿の人」のようなきっちりした終わり方ではないです。
次の百物語を楽しみに待つ事にしましょうか。
| 宮部みゆき | 13:54 | comments(0) | -
「名もなき毒」宮部みゆき (2007.02.26)
評価:
宮部 みゆき
幻冬舎
¥ 1,890
(2006-08)
財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。
そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高校生だった。


「誰か」に続く、杉村さんシリーズ(シリーズ…で良いのかしら)。

この「名もなき毒」の毒は、無差別毒殺事件の毒だけではなく、人の抱える自分以外の人間を傷つけようとする気持ちや悪意が出てきます。
宮部さんは、人の抱えた毒を描かせると本当にヒヤリとしたものを感じる事がありますが(現代物の「火車や時代ものの「弧宿の人」など)、この「名もなき毒」もそのヒヤリとしたものを辞めさせられた女性アシスタントの心の中に結構まざまざと感じたり。
ヒヤリとする分、読後に重いものが残ったりするのですが、この重さが逆に味わい…とでも言いますか。
第41回吉川英治文学賞受賞
| 宮部みゆき | 12:28 | comments(0) | trackbacks(0)
「孤宿の人」 宮部みゆき (2005.08.08)
オンライン書店ビーケーワン:孤宿の人 上  オンライン書店ビーケーワン:孤宿の人 下

宮部 みゆき 著
新人物往来社 (2005.6)

讃岐国丸海藩――。
この地に、幕府の罪人・加賀殿が流されてくることに。
海うさぎが飛ぶ夏の嵐の日、加賀殿の所業をなぞるかのように不可解な毒死や怪異が小藩を襲う…。

ほう、という少女が江戸の大店から金毘羅様参りとして遣わされます。
讃岐国丸海藩は金毘羅様のすぐ隣の藩で、ほうは船酔いで同行していた一行から抜けて丸海の木賃宿に宿泊した所でお付の女中に置き去りにされます。
ほうはの後、 この丸海で医師の家で養われる事になるのですが、思いもかけない大きな事に巻き込まれます。

宮部みゆきさんの時代小説、市井の人を主人公にした話が多いです。
この「孤宿の人」は今までの話と少し感じが違います。
今回は市井の人の目で物語を追いますが、市井の人は振り回される役回りです。
まず、何も悪いことをしていない町人も死にますし、武士も側杖食って死んだりします。
…と言うより重要なキャラもかなーり死ぬんですよ、これが。

幕府の罪人で讃岐へ流されてくる加賀殿は、「鬼、悪霊である」と噂されていて、また加賀殿の到着と共に色々と不気味な事が続く訳です。
ちなみに伝奇小説ではないですので、加賀殿はエスパー的な力を持っていて…という話ではないです。
加賀殿とほうの交流、優しくて切ないです。

「鬼も悪霊も、生身の人だということだよ」 悪霊の加賀殿という格好の言い訳に隠れることのできる、千載一遇の好機に色々な思惑がうごめき、その上に畏れや、恐怖や、不安がかぶさります。

暖気と寒気がせめぎ合い雷雲が湧くように、雷が落ち土砂降りの雨が降るまでは不穏で怪しげなものはおさまらない感じです。
ひと一人の思惑はかすみます。
ひと一人の命もたやすく消えてしまいます。

暑い日に、湿気を伴い、雷雲がだんだん育つ不穏な空気…物語はそういった不穏なものが育ち、最後に一気に雷が炸裂するまで、炸裂した後の静寂までを一気にたどる感じです。

とても哀しいものを含みながら、良い話でしたー。
| 宮部みゆき | 09:19 | comments(0) | trackbacks(0)
「日暮らし」宮部みゆき (2005.01.06)
日暮らし 上
日暮らし 上
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2. 6
宮部 みゆき著講談社 (2005.1)通常2-3日以内に発送します。

オンライン書店ビーケーワン:日暮らし 下

鉄瓶長屋の事件から1年…井筒平四郎と彼を取り巻く人たちの前に、再び新たな事件が持ち上がる。

「おまんま」
「嫌いの虫」
「子取り鬼」
「なけなし三昧」
「日暮らし」
「鬼は外、福は内」
という章立てで進みます。

「おまんま」で岡っ引きの政五郎の手下おでこが何故か食べ物が食べられない「気の病」に罹ってしまい…から話が進みます。

同心・井筒平四郎、その甥弓ノ助、差配人から植木職人に戻った佐吉、煮売屋のお徳、岡っ引の政五郎、その手下のおでこ「ぼんくら」(講談社文庫)で出会った懐かしい面々と久々の対面、という感じ。
この「日暮らし」は「ぼんくら」を読んでからの方が楽しめます。

「ぼんくら」の事件はまだ終わってはいず、更に深い事件を作り出します。
前の「ぼんくら」のあのエピソードがこう繋がって…とか、あのキャラクターの将来はどうなるのか…とか、とても読み応えがあります。
先はとても気になる、でも、読み終わるのは勿体ない…なとても楽しいジレンマを感じつつ読了。

作者の宮部みゆきさん、描写がとても柔らかいのですが、その中にこちらの心にひやりとしたものを残す厳しい目もあるのも健在。
登場人物たちの誰もが懸命に働き懸命に生きています。
その懸命に生きている人たちへの眼差しが暖かい…とでも言いましょうか。
装画・題字は村上豊さん。とても味のある楽しい装画で大好きです。
ああ、面白かった〜!
| 宮部みゆき | 21:12 | comments(0) | trackbacks(0)