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評価:
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,890
(2009-12-01)
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江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯をかけた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること。碁打ちにして数学者・渋川春海の20年に渡る奮闘・挫折・喜び、そして恋!第7回本屋大賞第1位の作品です。
作者名は冲方丁で、うぶかた とう、さん なのですね。
さんずいの沖ではなくにすいの冲であるというのはご自身の
ブログで知りました。
本屋大賞受賞作という事で大いに気になっていた上に、Net本読み友達が複数「良かった」コール、読む前から期待が高まろうってものです。笑。
戦乱時代が幕を下ろし、 天下は一応の平定を見ますが、まだ武断の考え方そのものは少しは残っている、そういう時代です。
武断政治を文治政治に転換する、と言う大きな時代のうねりが活字ならでは(これは映像化されたものでは味わいにくいのではないかな、と勝手に思ったりします)のダイナミックさで読んでいて気持ちが良いです。
武断政治から文治政治へ、武士の手で学問の集大成を、と言う時代の機運、それを支える水戸藩主・徳川光圀、会津藩主・保科正之、老中・酒井忠清。
春海は保科正之や酒井忠清、徳川光圀と言ったどっしりとした渋さや老獪さとは正反対でかえって瑞々しい、という感じ。
結構小心でびびりなくせに、究極追い込まれると開き直れるという設定が楽しいです。
主人公の渋川春海が頼りなさそうで、この頼りなさそうなのが味、と申しましょうか。笑。
冒頭の北極出地の建部伊藤のふたりのご老輩が初々しくて素敵です。
物語初頭から登場する女性、えんさんがぴりりとして良い味出していたり。