砲艦ホットスパー
セシル・スコット・フォレスター著 / 菊池 光訳
早川書房 (1984)
海の男/ホーンブロワー・シリーズ 3
結婚披露宴の真っ最中、ホーンブロワーは提督に呼び出される。
ホーンブロワーはこれまでの戦功により22門の砲艦ホットスパーの艦長に任命された。
フランスと暫定的な講和を結んでいるものの、一触即発の情勢であり、ホットスパーはフランスを刺激することなくブレスト湾の戦闘準備状況を監視する任を申し渡される。
やがて英仏はふたたび戦争状態へと突入する…。
ホレイショは、休職期間中に住んでいた下宿屋の娘と結婚します。
…しかし、この結婚、「押し切られ」結婚で、ホレイショは単に「ノー」と言って相手を傷つけたくないだけで結婚した、っぽいです。
誓いの言葉を言いながらこのまま祭壇に、牧師に、マリアに背を向けこのまま教会を出て行くべきだ…などと考えています。
マリアの幸福そうな姿にひきつつも、ちゃんと相手の喜ぶセリフを吐くあたり、ホレイショ あんたはー…(^_^;)な世界の展開です。
ちなみにホレイショは27歳…という事になりますね。
ホットスパー号の艦長としてプリマス港からブレスト湾へ向けて出港します。
出航したホットスパー号で仕官の操艦技術をチェックし、操舵のやりやすいように大砲の配置を変更し、上手く出来なかった仕官に同じ操艦をやらせさり気なく褒める…うーん、ホレイショ・ホーンブロワー部下に絶大な信頼を築くのが上手いです。
ところで、ホーンブロワー・シリーズ、食べ物の描写がけっこうあります。
船上の食料から、庶民の食べる安食堂の食事、はたまた貴族の艦長の食事まで、凄く不味そうなものから美味しそうなものまで色々です。
今回冒頭の司令官ペリューのトナント号で開かれた会議の際の食事がとても美味そうです。
新鮮な野菜に目を輝かせる将校・仕官たちw
当時はビタミンC不足による壊血症などもあったのですから「ああ、なるほど…」と思ったり。
しかし、船中で飼っている鶏の太らせ方は…(^_^;)
今回ホーンブロワーの当番兵が上陸作戦に際し任務遂行を拒否してしまいホレイショはその裁きをしなければならなくなったり(敵前逃亡は絞首刑や鞭打ち500回…とかなり厳しい刑が待っています)、その当番兵の後に、司令官の交代で去ったペリューの推薦で当番兵となったダウティは上官を殴ってしまいこちらも絞首刑を待つばかり…なのを逃がしてやったり、ちょっと苦いものが残ります。
反抗した(命令を聞かなかった)場合絞首刑か鞭打ち500回…って恐い世界です。
ペリューが去った後、コーンウォリス卿が司令官としてやってきますが、このコーンウォリスもスペイン開戦の前に引退をしてしまいます。
このコーンウォリス卿の「引退前の司令官に与えられた最後の特権」、この司令官に与えられた最後の特権は、士官候補生から海尉(レフティナント)、海尉から准海佐(コマンダー)、准海佐から海佐(キャプテン)に一人ずつ昇給を与える事が出来る、というものです。
コーンウォリス卿はホレイショに海佐(コマンダー)への昇級を約束してくれます。
部下に慕われ、上司に可愛がってもらえ…人徳ですねー、ホレイショ。
このホーンブロワーを勧めてくださった
Todo23さんのトドの部屋で
19世紀の戦艦の詳しい資料があります。
興味のある方は是非v