ダン・ブラウン著 / 越前 敏弥訳
角川書店 (2004.5)
ルーヴル美術館館長ソニエールが館内で死体となって発見された。
殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、フランス警察より捜査協力を求められる。
ソニエールの死体は、グランド・ギャラリーでダ・ヴィンチの最も有名な素描「ヴィトルウィグス的人体図」を模した形で横たわっており、さらに、死体の周りには、複雑怪奇なダイイングメッセージが残されていた。
館長の孫娘でもあり、現場に駆けつけてきた暗号解読者ソフィーは、一目で祖父が自分だけにわかる暗号を残していることに気付く…。
「ハリー・ポッター」以来の翻訳ものの100万部越えのベストセラー…と言う感じでしょうか。
本読み友達に貸していただきました(ありがとうございます、hさん)。
ええ〜っと、まず。
面白かったです。サクサク1日で上下巻読んでしまいました。
西欧のキリスト教の歴史、テンプル騎士団、秘密結社、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画、色々な要素の薀蓄が結構楽しい。
歴史は知らないと言う方でも知識がなくても理解に足を引っぱる感じはないです。
ちなみに、私も歴史詳しい方じゃないです。
「聖杯」という言葉は、歴史を知らないくても、トレジャーハントものの映画などで聞いた事ある…という方結構いらっしゃるんじゃないかと。
聖杯(The grail) は西欧中世の伝説、文学に登場する杯。最後の晩餐で、イエス・キリストが使用した杯というのが一般的でしょうか。
また、十字架にかけられたイエスの血を受けた杯である…というのもあった気が。
また、それらを捜し求めていく騎士の物語、あるいはそれをモチーフにした奇跡譚のようなものも少なくなく、ひっくるめて聖杯伝説という感じ…であってるでしょうか。
「ダ・ヴィンチ・コード」もそういう聖杯伝説に関しての話です。
難しく考えなくても「そう言えばどっかで聞いた事あるなぁ…」くらいで十分楽しめると思います。
「すごい!傑作!」か?
と問われると、「…うーん…」となってしまいそうですが(面白いのはとても面白いにせよ)。
話のジェットコースター具合は正直ジェフリー・ディーヴァー(「ボーン・コレクター」のリンカーン・ライム・シリーズ)の方が上手い感じがあったり。
他人に勧めるのに躊躇はないですが、手放しでもない…ってのが微妙かしらん。
何か歯切れの悪い褒め方ですか。
単行本上下巻(他に「ビジュアル愛蔵版」という絵画の掲載された版も出版されました)ですしねw
作中の絵画に関してはNet上にも
のぶながさんの
「ダ・ヴィンチ・コード図解補足」などがあります。
作者のダン・ブラウンは1964年ニューハンプシャー生まれ。
アマースト大学を卒業後、英語教師から作家へ転身…という経歴だそうです。
父は数学者、母は宗教音楽家、妻は美術史研究者であり画家。
家族もすごいアカデミックなのねw
映画化も決定していてロン・ハワード監督作品、2006年公開予定。
原作を読んでいないと分かりにくいか?と考えると…うーん、それ程分かりにくい作品ではないんじゃないかな?、という気がします。