神の名のもとに
邪教集団「ジェズリールの家」の近くで、小学生17人を乗せたスクールバスが、AK-47銃で武装した男たちに取り囲まれ、子供たちは地面に掘った穴の中で人質になった。
教団では生後50日の赤ん坊を、神に返すといってすでに42人も殺している。
女性事件記者のモリー・ケイツは恐るべき陰謀に挑むが…。
女性事件記者のモリー・ケイツのシリーズの第2作目の作品で、日本での出版は1995年。
今でも書店で手に入ります。
シリーズものではありますが、この作品だけ単独で読んでもOKではないかな、と思います。
カルト教団が小学生17人を乗せたスクールバスを拉致し、FBIが救出を懸命に模索している…という状況。
このカルト教団の指導者の過去をモリー・ケイツが調べます。
それと同時に拉致された小学生とスクールバスの運転手の視点のパートが交互に描かれているのですが、この小学生と運転手デミングの交流がとても素晴らしいんです。
「光の下、
もっと下、
草と土の下、
カブトムシの窖(あなぐら)の下、
クローバーの根の下」
「タイタンの大気は、地球の春の朝、パン屋の裏口から漂う空気のようだ」
緊迫感のある場面で語られるエミリー・ディキンソンの詩や、カート・ヴォネガットの『タイタンの妖女」の一節がとても切ないです。
スクールバスの運転手ウォルター・デミングの暖かい存在感が良いんですよ。
シリーズを続けて読むより、この作品単独で読み返す方が多いかな。
このシリーズは3巻出ています。
1) 「処刑前夜」
2) 「神の名のもとに」
3) 「すべて死者は横たわる」
いずれも講談社文庫から。