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評価:
柳原 慧
宝島社
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(2007-03)
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死者が出た部屋の清掃業務を行う「特殊清掃屋」として働く零と純也。
なんらかの事情により発見が遅れた死体の腐敗液などを徹底的に洗い流し、消臭作業をするのが彼らの仕事だ。
ある日、彼らはアパートの風呂場に溶けて死んでいた女・津島恵美の部屋の清掃を行う。
ところが霊的感応が強い純也は、恵美の生前の姿を見てしまい、彼女の「闇」に引き寄せられていく。
ネットサーフィン中に偶然にも「津島恵美」の名を発見した純也は、次第に零とともに恵美の死の謎を追い始める…。
主人公の純也は霊的感応力のあると言う設定ですが、最初に特殊清掃に出向いた部屋で死んでいた若い女性の幽霊を見た…くらいで霊的なものはあまり出てきません。
純也と零が亡くなった女性について探る動機づけみたいな感じでホラーではないです。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)のネット上のつきあい、オフ会から何故津島恵美という女性が美容整形に走ったか、また走った後何故死ぬ事になってしまったか…まで行くと謎が解きほぐされていく過程が怖い感じです。
SNSに限らずNet上での他者とのつきあいってのも連絡方法はメールやブログ(やSNSの日記に対するコメントを通して)…な事が多いですよね。
オフで会う…というのはリアルの友人と会うのと比べると格段に少ないのが一般的な気がします。
近付きになったとしても離れようと思った場合はリアルの生活で消えるよりは簡単に消える事が出来たりしますし、反対に消えられてしまう事もある訳です。
それはそれ…で割り切っている人が普通ですがそれに毒されてしまった場合はやはりそうとう怖いなぁ…と。
作中に出てくる韓国の「扇風機おばさん」と呼ばれる女性の事は知らなくて今回読後に検索しました。
画像もありました…これは怖い…。(これはご自分でgoogle などで検索してみて下さいませ)
ここまで劇的な失敗例でなくても度重なった美容整形の結果マジで怖い人って結構いるか…と考え込んじゃったりもします…。
美容整形の結果美しい顔を手に入れたとして、加齢などでまた崩れる部分も出てくる、それをどうする(さらに整形を追加するか、手を加えない…みたいな選択がありますよね)か…。やめ際の判断はかなり難しいかも…と考えると更に怖い。
フツーの美容整形から自分で薬剤を注入とか違法でグロい世界に、そしてある伝染病に…と怖さもいや増します。
私はこうしてNet上で本の感想書いたりしてますからネットの話も結構ヒンヤリ感じましたし、美容整形はやった事はないですが「美しくなりたい」な部分はまったく分からない…と言う事はさすがにない(笑)のでそこもまたヒンヤリ…とリアルな分、人間の暗い部分が怖い作品でした。
特殊清掃屋、という設定に惹かれてしまいました…(笑)。 この特殊清掃屋の青年たちと坊主で医学関係者のペニノ、気風の良い風俗嬢の姐さん、…何かこのままシリーズ化して欲しいなぁ…。
文末にあった「死体まわりのビジネス」(アラン・エミンズ)という参考文献、読んでみようかな…と。